ヨーロッパ統合の行方

 何より心配なのは、EUの真骨頂である「ナショナリズムの超越」にブレーキがかかることだ。ヨーロッパの統合がここまで進んだのは、ヨーロッパを震源地とする2度の世界大戦の,惨禍を経験して、「もう国同士の角突き合いをやめ、”利益の共有”を目指そう」と心に決めたからだ。ところが、東欧諸国がなだれ込んで、加盟国の利害の調整が難しくなり、またまたナショナリズムがモノをいう恐れが出てきた。
 いま、EUの将来について、世界では二つの見方がある。「ヨーロッパの統合はいまが頂点で、今後下り坂になる」というもの。もう一つは、「いや、スピードは遅くなっても統合への歩みは変えない」という見方だ。
 では、どちらが正しいのか。断定は難しい。だが、過去、ヨーロッパは何度も壁に突き当たりながら、結局、統合という選択を捨てなかった。こんども、その可能性が大きいのではないか。
 かつてはソ連という軍事的、政治的脅威と、日米の経済力に圧倒されまい、という思いが、ヨーロッパの一体化の背を押してきた。いま、世界は原油高にはじまって未経験の経済困難の局面に入り、地政学的にはロシア・パワーの復活、中国、インドの二大巨人国の台頭、アメリ力の影響力の相対的な低下がはじまっている。そんな世界でヨーロッパが埋没せず、できれば強い発言力を持つためには、一体化を進めるしか道はない。
 EUは今後、「拡大」という新しい装いに合った「深化」の仕方を、模索していくだろう。
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