万能細胞をめぐる日本と世界の今

 今のところ、iPS細胞の作成には、ウイルスベクター (遺伝子の運び役)などを用いて、外部から導入する遺伝子を強制発現させる必要があり、安全性に疑問が残る。また、高齢者の体細胞から作成したiPS細胞はがん化能が高いという結果も出ており、その意味でもES細胞の方が安全性の面で優れている可能性が高い。したがって、ES細胞の作成には生命の萌芽である胚を滅失するという問題があるものの、倫理的な配慮を確実に担保して、人のES細胞研究も着実に進められるべきものと思われる。
 一方、iPS細胞では新たな応用も試みられている。患者からiPS細胞を作成し、これを疾患原因究明研究や創薬研究に用いるごとが期待されているのだ。例えば、脳変性疾患の患者から神経細胞を採取することは不可能だが、皮膚細胞などを採取してiPS細胞を作成し、そのiPS細胞から神経細胞を作成して研究に用いることが可能である。多種多様にして類似する研究が、世界各地で一斉に始まっている。
 万能細胞を簡単に効率よく作成する技術は日本発の技術である。多国間の研究競争が激化する中、国際的なイニシアチブをとるべく、国としても大きな支援体制を組んで研究の発展に取り組んでいる。その努力が実を結ぶ日も、遠くはないかもしれない。
オイシックス おせち